○方士 王

 

第二話「道人、山中にて賊を助く。

王万里、麓の村で娘を求む。」

 

 万里と月西が僵尸に脅かされているという麓の村に向かったしばらく後、山賊の頭目は背後から人が近づいてくる気配を感じた。

 それは手下かも知れないと思ったが、実際には手下は方々へと逃げだし、親分を助けようなどと殊勝な心がけの者など一人もいなかった。何しろ味方に平気で矢を射かける連中である。そして、頭目の方も実のところ自分の期待には懐疑的であった。

 そして、頭目の背後から近づいてくる人物はやはり山賊ではなかった。それは身なりの良い男で、奥深い山中を歩くといった風ではなく、家の近所を散歩しているような、そんな気楽な感じである。そして男は、鉄の扇子を片手に、時折口髭をしごきながら、だんだんと山賊の親玉へと近づいてきた。

 背後から近づく気配に、頭目は緊張した。汗が背中を伝い、背筋を撫でる。

 しかし、謎の男は動けないでいる山賊の頭目には一瞥もくれず、むしろ眼中に入っていない様子で通り過ぎた。

 一瞬、山賊の頭目は声をかけようかと逡巡したが、意を決して声を張り上げた。

「お〜いっ!そこの旦那ぁっ!!」

 頭目に声をかけられ、男の歩みが止まる。

 そして、ゆっくりと辺りを見回すと、今更のように驚いた声を上げた。

「む、むむむっ!一体この有様は何としたことっ!?」

 男は焼け焦げた周囲にしか目がいっていないらしく、頭目は辛抱強く改めて声をかけた。

「だ、旦那ぁ、助けてくだせぇっ!!」

 その声に、男はやっと山賊の頭目に気が付き、せかせかと歩み寄った。勿論、頭目のことを気遣ったわけではなく、興味が一瞬にして男を惹きつけた。そんな感じであった。

「む、むむむっ!この札はっ!!」

 頭目の額に貼られた呪符を手に取り、驚きの声を上げる謎の男。もっぱら注意は札に向けられ、頭目のことなどまるで気にも留めてはいない。

「だ、旦那ぁ、その札を早く剥がしてくだせぇ………」

 腑が煮えくり返る思いであったが、頭目は気が遠くなるような自制心でもって、哀れな声を上げて見せた。

 しかし、そのことが男の癇に障ったのか、男は頭目の額を鉄扇子でぴしゃりとはたいた。

「痛てっ!こ、このぉ、人が下手に出てりゃいい気になりやがってっ!!」

 頭目は凄んで見せるが、男はまるで意に介さなかった。

「莫迦者っ!!この鉄冠様が呪符を見ておるのだ。邪魔するでないっ!!」

「そ、そんなに呪符が見たけりゃあ、剥がしてゆっくりと見りゃあいいじぇねえかっ!」

 一瞬、男の高圧的な態度に怯んだ山賊であったが、それでも一応は抗弁する。そして、それはある意味正論ではあったが、そのことが謎の男の癇に障ったらしく、もう一度鉄扇子でぴしゃりとはたく。

「っむむ、この鷹爪の鉄冠道人に意見するとは生意気な………。貴様なんぞに言われなくとも、剥がしたいときには剥がして見るわっ!」

 ぴしゃりぴしゃり。

 理不尽な話であったが、鉄冠道人と名乗る男は意地になり、札を剥がす気は更々なくなっていた。

「それより、この札を貼った男はどんな奴だ?」

 鉄冠道人は山賊に質すが、山賊の方も意地になっていた。

「さあな。呪符を剥がす気がないなら、とっとと向こうへ行きやがれっ!!」

 山賊の言葉に、鉄冠道人は更に頭に血を上らせた。顔が真っ赤になり、頭から比喩ではなく湯気が立ち上る。そして、次の瞬間、鉄冠の額が割れ、そこからギョロリともう一つの目が覗いた。

「うげぇええっ!化け物っ!!」

 驚きの悲鳴を上げる頭目。

「うぬぬぬぬぬっ!!どこまでも、どこまでも無礼な奴めっ!この私が何故鷹爪の鉄冠と恐れられているか、目に物見せてやるわっ!!」

 そう言うと鉄冠は手を差し出し、鷹のように三本の指を開いて見せた。

 鉄冠の気迫にごくりと唾を飲み下す山賊。

「さあ、鷹の爪をとくと味わうが良いわっ!!」

 次の瞬間、鉄冠は山賊の腕を強くつねった。

「い、痛ったたた、痛ぇっ!!このぉっ!何しやがるっ!!」

 山賊の頭目は身を捩って逃れようとしたが、呪符が貼られている間は動ける筈もなく、鉄冠が身体をつねるに任せるしかなかった。

「痛い、痛い、痛いつってんだろうが、この野郎っ!!何が鷹爪だ、莫迦野郎っ!」

 よせばいいのに山賊は更に毒づき、またも鉄冠の不興を買う。

「うぬぬぬぬぬっ!!この鉄冠様を莫迦呼ばわりとは、まだ鷹爪を味わいたいというのかっ!!」

 鉄冠は更に、何度も何度もつねりあげる。特に肉がちぎれるとか、ひどい致命傷に至るわけではないのだが、執拗に何度も何度もつねられ、腹が立つやら煩わしいやら。しかも、やめろと罵声を浴びせる毎に鉄冠は頭にきて同じ攻めを何度も繰り返す。

「痛い、痛い、もういい加減にしてくれよっ!!」

 ついに泣きをいれる山賊。しかし、鉄冠はそんな山賊の様子をせせら笑った。

「ふふん、それは鉄冠様の鷹爪に恐れ入ったと言うことかな?」

「だ、誰が……って、痛い、痛いっ!!解った、いや、解りましたっ!道人の鷹爪には恐れ入りました。申し訳ございません鉄冠道人様ぁっ!!」

 半ば悲鳴気味、半ば自棄気味に謝罪する山賊。

 鉄冠はその言葉にひどく満足すると、文字通り鷹揚に謝罪を受け入れ、そして再び呪符の事を質した。

「うむ、解れば良いのだ。私も些か大人気なかったかも知れぬな。さて、先程の質問だが、この呪符を貼った男は一体どんな奴だ?」

 鉄冠の質問に対し、山賊はうんざりしながらも素直に応じた。

「はい、小鬼の娘を連れた王万里という男で、麓の村に僵尸退治に行くと……」

 その言葉に、鉄冠の顔色が変わる。再び怒りに顔を染め、頭から湯気を吹き上げる。額の三眼をぎょろぎょろさせながら、山賊の頭から呪符を剥がすと、それがまるで王万里であるかのように強く握りしめた。

「うぬぬっ!あの色鬼めっ、ついに見つけたぞっ!!積年の恨み、今日こそ晴らしてくれるわぁっ!!」

 言うが早いか、猛然と山を下り始める鉄冠。

 後に残された山賊はへなへなと座り込むと、疲れ果てたように呟いた。

「………も、もう、俺ぁ金輪際、道家には関わらねえ」

 

 その頃、王は既に麓の村に辿り着いていた。村は僵尸に脅かされているので当然だが、どこも戸締まりを堅くしており、村人は誰も息を潜めて家の中に閉じ籠もっていた。

 乾いた風に砂埃が舞い、どこからどう見ても廃村である。王はちらりと目の端に、窓の向こうで人影が動くのを見つけ、その家の戸を叩いた。

「もし、私は旅の方士なのですが、ちょっとお尋ねしたい事があります」

 返事はない。

「もし、私は怪しいものではありません。自分で言うのも何ですが、私は清く正しく美しい人間でありまして、決してお宅様に仇を為すような無道の輩ではございません。品行方正、質実剛健、勧善懲悪、眉目秀麗、明朗会計、唯我独尊、弱きを助け強きをくじき、産前産後の虚脱感や一時の過ち気の迷いにも滅法強く、言葉は喋るし恋もする、おまけに飯まで食べちゃう正義の方士、王万里とは何を隠そう私のことなのであります。私の話をお聞きいただく訳にはいきませんでしょうか?この村が凶悪な鬼に悩まされていると聞き及び、何かお力になれないものかと立ち寄った次第であります。こう見えても私、法力には些か自信がございまして、自慢ではありませんが、幼い頃からその才能たるや他に比肩する者無し。近所でも評判の愛らしい子供でありました。ひとたび表を歩きますと、近所の善男善女は私のことを褒めそやし、『まあ、可愛らしい。王さんのところのお子さんは将来きっと美男子になるに違いないわ』などと……いえ、決して自慢などではございません。私、生まれてこの方、嘘と坊主の頭と自慢話はゆった事が無く…………」

 延々と続く王の四方山話に、流石にうんざりしたのか、中から怒鳴り声が返ってきた。

「やかましいっ!!」

 怒鳴り声だろうが何だろうが、返事があったので王はひどく満足げな様子を見せる。その様子を、既に呆れて座り込んでいる月西が溜息と共に見上げた。

「お返事があったところで早速お訊ねいたします。この村の代表者の方は何処にお住まいでしょうか?」

「向こう四件隣だよっ!!二度と来るな、莫迦野郎ッ!!」

 王は丁寧にお辞儀すると、頭から塩をかけられてそそくさとその場を退散した。

 身体に掛かった塩を払いながら、月西が不平を漏らす。

「も〜おっ、先生ってば、その性格何とかならないんですかぁ??」

 王は意に介さず、その言葉にチョキを出して応じる。

「良い性格してるでしょ♪」

「はあ、………ホンット、良い性格です」

 

 王は村人に聞いた家を訪ねると、早速、僵尸を退治すると申し入れた。

「聞けば、鬼が村に災いを振りまいていると聞き及びまして、お話を伺いに参りました」

 この村の村長は見るからに疲弊していた。肌の色は土気色で、目の下には黒い隈が出来ている。普通ならこんないかがわしい旅の方士などは放り出すところだが、今や藁にもすがる思いで王の話を聞いていた。

「それにしても、僵尸に祟られるなど。どうしてちゃんと葬ってやらなかったんです?」

 死者が出れば普通は僧侶や道士に手厚く弔ってもらい、その魂を鎮めるのだが、希に、放置されたままの死者は日月や大地の精を受け、鬼として甦ることがある。そうした場合僵尸や、場合によっては乾麑子や不化骨と言った人を祟る鬼となる。また、そのまま放置しておくと僵尸は飛僵や“こう”と言った旱魃を起こす怪物となる。

「はあ、それが、その………色々ありまして」

 口ごもる村長。死体を放置しておくなどとは余程のことであるし、言いたくない事の方が多い筈である。王はこれまで幾度と無く僵尸に悩まされた村を見てきており、どの村の反応も大して違いはなかった。王はその事にはこれ以上触れず、話題を変えることにした。

「はあ、色々ですか。まあ、それはそれとして、僵尸の居場所は分かっているんですか?」

「分かりませんよ。大体、僵尸が隠れている場所が分かるなら、昼間、僵尸が動けない間に死体を燃やしますよ」

 村長は些か憮然として答えた。そこへ、傍らにいた月西が口を挟んだ。

「別に僵尸が潜んでいるところまで聞こうとは思わないですよ。ただ、大体この辺りに住んでいるんじゃないかって言う、見当だけでもつきませんか?」

「む、むぅ……。見当ですか?それも、何とも………。そんな事より、あなた方は僵尸を退治して下さるんですか??御覧の通り村はこんな有様で、何もお礼を差し上げることは出来ませんよ?」

 謝礼の話が出て、王は口元を歪めて猥褻な笑みを浮かべた。それを見た月西の目が吊り上がる。

「いえ、何も私達は無いものを欲しがったりはしません。ところで、あなたには娘さんはいらっしゃいますか?」

 突然の質問に、首を傾げる村長。

「はあ、十五になる娘が一人………」

 その言葉に、王の瞳が輝き始める。

「おほん、………これは僵尸退治に非常に大切なことなんですが、お宅の娘さんは、胸は大きい方ですか?」

「は、はあ。ろくに食べ物も無いのに、身体ばかりが育ってしまって。お恥ずかしいことですが、うちの娘はこの村でも、胸はかなり大きい方でして………。あ、あの、それと僵尸退治とどういう関係が……??」

 何の質問かも分からずに、村長は莫迦正直に応じる。そしてその村長の言葉と共に、王の下半身がむずむずと動き出した。

「はい、先程の謝礼のことですが、娘さんの身体で払ってもらうかと思いまして……」

 悪びれることもなく、しゃあしゃあと答える王。村長は一瞬、王が何を言っているのか理解できなかった。

「………はあ?今、何と仰有いました?」

 問い返す村長に対して、王はニコニコと満面の笑みを浮かべて応じた。

「はい、ですから、お宅のお嬢さんの胸をぐにぐにと揉ませてもらったり、しゃぶらせてもらったり、息子を可憐な口で咥えてもらったり、桃のように割れた女の部分に突っ込ませてもらいたいと………」

 次の瞬間、王の身体は扉をぶち破り、表に叩き出されていた。

「痛たた、乱暴だなあ……」

 腰を強かに打ちつけて、王は呻き声を上げる。慌てて飛び出した月西が王の元に駆け寄り、呆れた声を出した。

「も〜おっ!先生ってば、も少し控えめな表現は出来ないんですかぁ?」

「控えめって、何をどう言ったって、する事は同じじゃないですか。私は回りくどいことは嫌いなんです」

 身体の埃を払いながら、王はそう答えた。

「も〜おっ!!そんなだから、今日のねぐらもぱあにしちゃうんですよ。どうするんですかぁ?今日、泊まる所……」

「仕方ありません、村外れまで戻って野宿の用意をしましょう。もしかすると洞くらい見つかるかも知れませんよ」

 そう言うと、王はさっさと歩き始めた。慌てて後を追う月西。

「ちょっと、先生ってば。待って下さいよ〜ぉ。私、お腹空いちゃって。今晩の夕食はどうするんですかあ!?」

「………夕食って、ここに来る前、さんざん精液飲んだじゃないですか?まだ、足りないんですか??」

 ばきっ!!

「そんなのご飯の代わりになりませんっ!!」

 

 数刻後、王達は村外れをうろうろして、手頃な洞を見つけた。近くに川が流れていて、魚を捕ることも出来そうなので、王達は早速魚を捕ると、薪を集めて洞に持ち込んだ。

「あれ?こんな所にがらくたが放り出してありますよ。粗大ゴミみたいですね」

 洞の奥で散乱する割れた壺や、欠けた茶碗などが見つかり、月西は声を上げた。

「丁度良いですね。そこにある大きな筺をこちらに持ってきて、椅子にでもしましょう」

 王に言われて月西は筺を焚き火の側にまで運んだ。小さな寝台に出来そうなくらいの大きさである。

「けっこう頑丈ですね。少々のことでは壊れそうにありませんよ」

 筺に座って壊れないか確かめる月西。

「さ、ともあれ食事をしましょう。私もお腹が減ってしまって……」

 王はそう言うと、捕ってきた魚を焼き始めた。洞の中に、魚を焼く香ばしい香りが充満し始める。

「それにしても、この村はどうして祟られているんでしょうかね?」

 焼けた魚に囓りつきながら、月西が呟く。

「そんな事知りませんよ。でも、大概の呪われた村は村特有の閉鎖的な社会を作っていますから、そんな感じじゃないですか?決まり事を破ったとか、余所者だとかで村八分にしたりとか………」

 特に面白くもなさそうに、王は答えた。王の言葉に眉根を寄せる月西。

「嫌ですねぇ、そう言うの………はぐはぐ」

「まったくです………むぐむぐ」

 特に気にする風でもなく、魚を囓る王達。月西の闇器は魚を捕ることにも大いに役立ち、二人がたらふく食べても十分なくらいに魚は捕れている。

「………ところで」

 今まで黙って魚を食べていた月西が、憮然とした調子で口を開いた。

「ところで、先生。そんなところで何をやっているんですか?」

 いつの間に移動したのか、筺に座る月西の足下に王はいた。膝小僧の間から裙子(スカート)の中を覗き込む王。

「も〜おっ!!先生ってば、どうしてそんなにエッチぃんですかぁ??」

 慌てて膝を閉じる月西。

「何を言ってるんです、月西が可愛いのがいけないんです」

 そう言って這い上がり、月西に覆い被さる王。

「なんて言うかぁ、先生って始原的欲求に正直って言うかぁ、食べることとそう言うことする以外に考えること無いんですかぁ?」

 わずかに形だけの反意を示すと、月西は筺の上に身体を投げ出した。王は月西の唇を強引に奪うと、柔らかな唇をこじ開け、舌を絡めた。とろとろとした少女の甘い唾液を、王はくちゅくちゅと貪る。熱心に舌を絡め合う王と月西。

「心外ですねぇ、月西まで私のことを色鬼みたいな言い方をして。私は月西のことを本当に可愛いと思っているんですよ?月西を好いているから、こう言う事をしたいとも思うし、息子だって堅くなるんです………」

 王の言葉に、月西はうっとりとなって呟く。

「ほわわ〜ん♪………ホントだったら嬉しいなぁ」

「本当に決まっているじゃないですか………」

 そう言って、王は月西の胸元に手を這わし、胸元をわずかに開いた。そうして、中途半端に開いた胸元に手を差し込むと、量感のある乳房をごろりとまろび出した。上下はそのままで、真ん中だけ開いているので、大きめの白乳がことさら強調される。そうして、もう片方の乳房もひねり出すと、二つの乳房を寄せ、乳首に吸い付いた。

「ん、はぁっ……」

 喘ぎ声を漏らす月西。

 白い乳房はどこまでも、際限なく指が沈み込んでいきそうなくらいに柔らかく、絹のような光沢を放っている。静脈はわずかに透け、乳輪は卵の白身のようにぽこりと盛り上がり、その頂には弾力のある乳首が乗っている。男の唾液でてらてらと淫靡に濡れるそれは本当に蜜を絡ませた果実のようであった。

 王は執拗に胸を舐め回した。王の舌先がざらざらと微妙な刺激を送る度、乳房の内部にじんじんと甘い疼きが沸き起こる。

「ふんぅ、先生の舌、ざらざらしてて気持ち好い………はぁんっ♪」

 快感を噛み締めるように月西は眉根を寄せ、瞳を閉じている。かなり興奮してきているのか、鼻の頭には汗が滲み、頬は赤く上気している。

 王が乳首をコロコロと転がす度に鼻に掛かった甘い吐息が漏れ、身体ぴくぴくと反応する。

 やがて、少女の乳房を堪能した王は月西の膝を立てさせると、足を拡げさせた。裙子の奥から蒸れた少女の匂いが立ち上る。

「やだ、先生。こんな格好、恥ずかしいよぉ……」

 月西は両手を顎に寄せるのだが、その腕の間でたっぷりとした乳房が寄せられて、更に強調される。

「何言ってるんです。可愛いですよ」

 そう言うと王は、月西の太股の間に身体を割り込ませ、小さな下着に包まれた柔らかな土手に手を触れた。手の平全体でむにゅむにゅと肉の感触を楽しむ。そこは乳房とはまた違った柔らかさで、体温もそこだけ高く、熱を帯びているようだった。

 次第に湿り気を帯び、下着の中心には楚々とした染みが広がり始める。指先で堅くなった部分を押さえると、月西の身体が跳ね上がった。

「やっ!?」

 小さく悲鳴を上げる月西。

 王はそれには構わず、くりくりと淫核を刺激した。下着は淫液と汗で張り付き、既に肉色を透過している。その中心の、もっとも鮮やかな亀裂に指を押し込むと、第一関節を折り曲げてぐちゅぐちゅと刺激する。

「ひゃぅあっ!?ああっぅうんぅ……。せ、先生ぃ…遊ばないで下さい」

 王は言葉を返さなかった、その代わりに下着の脇から指を差し込み、谷底に潜り込ませた。

「うぐぅっ!!」

 月西の二枚の唇が、男の節くれ立った指にまとわりつき、舐め回す。

 止めどなく愛液を溢れ出す月西。王の指は既に愛液にまみれ、流れ出した蜜液は太股や菊門、お尻を淫靡に濡らしている。

「先生ぃ、先生ぃい………。わ、私、もう……」

 腰をもじもじと揺らし、男を誘う月西。王は頃合いとみて、既に鉄の様にカチカチとなった自身を取り出した。

「はぁあ、先生の、素敵ぃ………」

 月西はうっとりと呟くと、半身を起こして王を咥えた。月西の可憐な口には余る代物であったが、それには構わずに奥まで飲み込もうとする。熱く、柔らかな舌が肉棒に絡み付き、鈴口や裏筋を丹念にしゃぶり回す。

「堅くて、太くて……はむぅ、んふぅ」

 唾液が溢れ出し、口の周りがべたべたになるのも構わずに、月西は男のものを必死に舐め回した。

 やがて、ぶじゅるという鈍い音と共に、どろりとした塊が口の中に吐き出された。喉を鳴らして、美味そうに飲み下す月西。顎から垂れた精液を指ですくうと、名残惜しそうに口に押し込む。

「全部吸い出して、綺麗にしてあげますね……」

 そう言うと、月西は再び王のモノを咥えた。鈴口からわずかに漏れだした名残液を、ちゅうちゅううと音を立てて吸い出す。

 月西の口の中で、王の逸物は再び活力を取り戻した。王が完全に復活したのを確認すると月西は口を放し、仰向けになった。

 少女の甘い体臭が立ち上ると、王の鼻腔を心地よく刺激する。

 王は月西の股間に張り付く小さな布きれを乱暴に取り去ると、のっぺりとした亀頭をあてがった。期待に目を輝かせ、息を潜めて見守る月西。

 ピンク色の肉襞をむにゅりと掻き分け、侵入を開始する肉棒。

「あんぅっ、全部入っちゃった……。お腹の中がいっぱい」

 やがて根本までも飲み込まれると、王はゆっくりと抜き差しを開始した。花弁が巻き込まれ、捩れ、ぐちゅぐちゅと言う音と共に淫らな変形を繰り返す。

「んはぁあっ!あんんっぅ!!」

 目に涙をためて悲鳴をあげる月西。

 王は身体を折り曲げて唇を寄せると、月西の口を塞いだ。

「くちゅくちゅ………んはぁんぅ、あむぅ……はぁん」

 熱に浮かされたように舌を絡める月西。汗で密着した肌と肌が擦れ合い、男の胸板の下で少女の乳房がつぶされ、乳首が触れ合う。

「ひんぅっ!き、気持ち良いのぉっ!あん、あんっぅ!!あはぁ……んぅ」

 嬌声をあげ、嗚咽を漏らす月西。その心地よい音色に、王の腰の動きも我知らず早くなる。

「はぁっ!!きはぁっ!!あんぅううっ!!!」

 王はにちゅにちゅと熱い泥濘を掻き回し、子宮を突き上げ、腹の中を暴れ回った。汁が溢れ、飛沫が飛び散る。

「ひんぁああああああああっ!!」

 がくがくと痙攣し、絶頂の声を上げる月西。王も熱い樹液をたっぷりと、激しく吹き出させた。

 

 心地よい倦怠感に身体を委ねる月西。真っ暗な洞の天井を焦点の合わない瞳で見つめながら、大きく溜息をついた。

「はぁああっ………」

 既に身繕いを整え、火の番をしている王が首を傾げる。

「どうしたんです?溜息なんかついて………」

「………そろそろ夜だなぁと思って」

「何です??」

「謝礼も貰えないし、追い出されちゃったからもう関係ないのかも知れないけど、そろそろ僵尸が動き出す時間なんですよねぇ……」

 感慨深げに呟く月西。

「私は死んでますけど、僵尸じゃありませんよね。人を祟るわけでもないし、旱魃を起こす“こう”になるわけでもない……」

「そりゃあ、月西は言わば人工の鬼ですから、僵尸とは些か違いますよ」

 王はそう答えるが、月西が何を言いたいのか分からなかった。

「ところで先生」

「はい?なんです?」

「僵尸って、昼間はどんなところにいるんです?いつもは村とか町に出てきた奴を直接退治するから、私よく知らないんですよね…」

 唐突な質問に王はやや戸惑ったが、それでも律儀に応じる。

「そうですねぇ……。丁度、人の来ないこんな洞に潜んでいることが多いですねぇ。じめじめと薄暗い所にいて、棺の中で夜が来るのを待っているんですよ」

「へえ、棺の中に隠れているんですか?」

「そうですよ。だから僵尸を退治するには、昼間、棺の中で眠っているところを燃やすか、夜、棺から出たところにこっそり蓋を打ちつけるとかそんな感じですかね。棺はほら、丁度、月西が寝ている筺の様な感じですよ」

「へえ、そうなんですか?でも、これが僵尸の棺だったら笑っちゃいますよね。だって、その上で私達、色々変なことしちゃったし……」

「ははは、そうですね。寝ている上であんな事されて、中に僵尸がいたらさぞかし怒っているでしょうねぇ……」

「あはは、そうですよねぇ」

 笑い合う王と月西。しかし、その時。月西の乗っている筺の蓋がかたかたと鳴り始めた。

 

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